百戦錬磨の台所





恩師である中村好文の新著「百戦錬磨の台所」

台所に対する 『美しく散乱する台所』という台所観が好きです。料理や食べることを愉しむことができるように、作業しやすく機能的な台所の情景をその家の普段の食事と共に紹介した本です。

刊行記念のオンライントークイベントに参加していたら、随分前に同期の仲間たちと「考える人」の取材で中村好文先生設計の自給自足の小屋「Lemm Hut」に泊まりに行った時につくったダッチオーブンパンの写真が!

「百戦錬磨の台所」内で Lemm Hutの七厘レンジの章がありますが、その小屋の外の台所でつくったものでした。懐かしいです。

料理を愉しむ台所が理想です。

ワークスペースをもつ家

玄関にワークスペースを持つ「世田谷の家」パブリックからプライベートへの堺を仕事の場としています。奥にみえる白い縦格子は輻射式の暖房器具で、玄関でも冷えないように計画しました。

階段方向を視界も風も抜ける明るい仕事場です。

モリオカえほんの森保育園

盛岡の保育園は「モリオカえほんの森保育園」となりました。この仕事は私が建築を学んだ宮脇檀先生が創った日大の「居住空間デザインコース」での同窓の双子建築家 atelier meie 木村暁さんと木村彩さんの出身の盛岡での仕事です。今回はそのサポート役として設計監理に参加しました。彼女たちとは、恩師の中村好文先生のレミングハウスの仕事で再会しました。保育園は子どもたちにとっての家です。手触り良いディテールをもつ家具や建具、素材選びなど恩師から学んだことを十分に発揮できたと思います。

園庭木フェンス越しに園舎をみる
玄関へはスロープのアプローチをもつ
食堂ホール 南部赤松の太鼓梁 奥に保育室とは可動間仕切りで仕切る 写真は開いている状態
保育室 年齢別のゾーンは家具間仕切りで緩やかに 家具のカウンター材は赤松の剥ぎ板
乳児室 中央は間仕切り家具 左断部は手洗いシンクで赤ちゃんたちが蛇口で遊ばないように隠すこともできる仕掛けをもつ
食堂ホールにはイングルヌック 盛岡の寒い冬は薪ストーブで温まる。子どもたちが中に入らないような引き戸も設置してある。 左手のカウンター奥は厨房があり、家庭での台所のように野菜を刻む音、魚を焼く匂いなどを感じながら食事の時間を待つ楽しみを子どもたちへ届ける。

保育園は竣工まであと少し

確認検査機関による完了検査は無事合格し、あとは消防検査と家具工事と外構工事のラストスパートです。8月からの追い上げ力がすごいです。施工者チームのおかげでここまで来ることができました。

どんぐりの森越しの園舎の妻側。

開園まであと1か月

盛岡にて建築中の保育園の現場は、厳しい工期にもかかわらず、オーダーメード建具に家具に細部では子どもたちに優しい手触りを求めたディテールに、盛沢山の手仕事があります。詳細図を描いて打合せをすると、いつも期待以上の仕上がりで応えてくれる素晴らしい監督と職人集団のチームで仕事をしてくれています。追い込みの現場でも笑顔で仕事してくれる職人さんたちに感謝しかありません。今回の現場では園庭など外構工事の着手前打合せを行いました。完了検査まであと2週間!詳細図描きもラストスパート。

仕上げ工事に大忙しの現場
外構工事の打合せ
盛岡のソウルフード福田パン 始発の新幹線で行く現場の朝ごはんです。あんバターが人気のようですが、ちょっと苦手なので チョコカスタード

天井下地が美しい

広い現場ですが、10月開園にむけて10人以上の大工さんがそれぞれの持ち場で頑張ってくれている現場です。今回は内部の木建具打合を半日かけて行いました。保育園という事で気に掛ける納まりが盛りだくさんの中、待機児童対策もあり工期厳守でドキドキです。そんな中でも、下地仕事でも芸術的に丁寧できれいに施工してくれる大工さんの技術に脱帽!

食堂ホールは天窓をもつアール天井。難しいリクエストでも笑顔で仕事してくれるとても良い職人集団の杢創舎さん。

上棟後初の現場監理

保育園の現場がはじまり、3月に木材加工場へ訪れて間もなくコロナ禍へ。緊急事態宣言により配筋検査はリモートで行いました。現場との図面応答はメールや電話で可能ですが、何より残念だったのは建方に立ち会うことができなかった事です。atelier meieでは彩さんが盛岡のご実家へ建て方の前から待機して上棟に立ち会っていますので、現場からレポートをもらい建て方の様子を伺う事はできました。そして緊急事態宣言も明けたので感染対策をして上棟後初の現場へ行ってくることができました。

板金屋さんの仕事は素晴らしい。
大工さんの仕事もとても丁寧です。寒冷地の工務店さんは断熱の入れ方も行き届いています。

木材加工場へ

盛岡の保育園では岩手県産材による構造材で組む。化粧材の加工をみたり、着手時の様々な打合せをしに加工場へ行きました。現場では基礎工事が進行中です。

丸柱は遠野の樹齢100年のカラマツ材 槍鉋(やりがんな)で大工の手作業により磨いた
岩手県産赤松の太鼓梁は追掛大栓継ぎ 
どんぐりの森の中に保育園はたつ。建物にかかった木は外構で使えるように仮移植したり、木材として活用する。

どんぐりの森

盛岡にて計画中の保育園の敷地へ配置確認にいきました。工事入札により施工業者は、地元岩手県産無垢材を扱う杢創舎にきまりました。いよいよ始まります。とはいっても盛岡の冬は基礎工事には厳しいので冬の間は様々な工事準備期間です。敷地は地元の団体が苗から育ててきたどんぐりの森の中。少し手を加えて保育園の敷地のある中央公園全体へひろげていく予定です。保育園を含む中央公園の事業のランドスケープデザインは(株)キタバランドスケープによる。

クヌギ、コナラ、カシワ、ミズナラなどさまざまなどんぐりの木