敷地は数十年前に開発された静かな住宅街の一画にあります。周辺には当時建てられたであろう住宅が建ち並びますが部分的に建てかえがすこしずつ進み、既存のものだけではなく新しいコミュニティーもつくられていっているようです。
この住宅は土地探しの段階から相談を受け、他の候補地も見に行きましたが建主さんも納得される良い敷地を見つけられました。
設計に際しては、南北に縦長形状の敷地に対して北側にコンパクトに住まいをまとめ、南側に庭と駐車場に設けることにしました。
太陽熱を利用した暖房システム(環境創機そよ風)を採用するため、屋根形状はシンプルな切妻屋根としました【写真1】。プランも単純な矩形にすることによってコストも抑えています。
玄関までのアプローチには板塀とあわせた門扉を設けました【写真5】門扉脇の建物外壁にインターホン、ポスト口を設けて郵便物は室内から取り出すことができます。
玄関ドアは米松で製作しました【写真6】。
玄関ドアの脇には木製の面格子を取り付けた採光窓があり、玄関に外光を採り入れています【写真7】。
玄関には下足入などの収納を設けず、隣接する玄関収納を設けました。内部には靴棚、傘掛け、コート掛けがあり、居間を通らずに直接台所に行くこともできます【写真7~8】。
玄関収納を設けるにはプランの制限がありますが、棚やコート掛けは単純な構造ですので家具工事ほどコストはかかりません。中に入ってしまえばオープンな収納なので使い勝手も良く、引戸を閉めてしまえば来客の目に触れることもありません。
リビングダイニングは南面にまとめ、中央に階段を設けました。南にはウッドデッキを設けリビングの拡がりがを感じられるようにし、上部からの光が1階にも届くよう2階の一部床はスノコ状にしました【写真12】。
食卓と一体的に使えるベンチの他、テレビ台、カウンターコーナーを造り付けました【写真9】。
他の家具や建具と合わせた製作キッチン【写真13,14】。
リビングダイニング対面する位置にシンクを、コンロはL型に伸ばした壁側に設けました。
2階は開放的なオープンスペースとし家具の配置でフレキシブルに利用できますが、押入れに収納している建具を設置することによって一部を個室として利用することもできます【写真15】。
間仕切壁は天井と床の溝を使って簡単に設置することができます【写真17,18】。
ベランダは南側全面に設けオープンスペース、寝室から出入することができます【写真16】。
2階上部には屋根形状を利用してロフトと収納を設けました。ロフトの天井はルーバー状になっており、内部には屋根で集めた太陽熱を床下におくる機械があります【写真20,21】。ダンパーを切り替えることにより室内の空気を循環させることもでき、上下温度差を緩和することができます。
1階のトイレにはカウンターに連続する小さな手洗いを設け、下部には収納を確保しました【写真22,23】。
2階のトイレや洗面はプライベートな場所なので一体的につくり、面積を最小限にまとめて、その分、居室の面積を広く確保しました【写真25,26】。