敷地は段階的に開発が行われている高台の一画にあり、街区には住宅が建ち並びますが周辺にはまだ畑も残っており、比較的ゆったりした風景が広がっています。
建物は切妻屋根に下屋がよりそうシンプルな形状にし、なるべくプランも単純な矩形にすることによってコストも抑えています【写真1】。
敷地面積にゆとりがありましたので、住まいはコンパクトな平面にまとめ庭をゆったりと設けることにしました。また室内と庭をつなげる1階の居間と庭の間に設けられた土間空間も特徴となっています【写真2】。
土間の開口部はサッシと目隠し戸の2重の設えがあります。サッシは両袖に全て引込めるタイプのもので、制作の目隠し戸も同様に袖壁に収納することができます【写真3~5】。
居間の北側には階段と窓を設け土間を開け放つと風が抜けます。一角には本棚とカウンターを造り付けたコーナーを設け、子供の勉強や家族共有のパソコンコーナーとして利用します【写真6】。
居間と土間の間には両袖の壁面に収納できる障子を設置し、土間と間仕切ることも可能です【写真7~9】。
2階の個室(子供室として利用予定)は間仕切戸により子供の成長に合わせて2室に分割可能になっています。それぞれに収納スペースを確保した上で約4.5帖の広さを確保しました【写真10】。間仕切りは将来工事ではなく、専用の間仕切建具をつくり、不要な際には収納できるスペースも確保しています。
その前面には物干金物を備えた巾約6mのベランダを設け、木製竪格子により道路からの視線を和らげています【写真12】。
キッチンは造作の2面カウンターとし、住まい手さんの希望でガスコンロはあえてビルトインにはしていません。階段下を利用したパントリー、吊戸等を含めて面材は建具にそろえ、家全体で統一された仕上としました【写真14~15】。
また、キッチンには洗濯機のある家事室、その先の洗面室を隣接させ、家事動線もコンパクトにまとめています。【写真16】。
浴室間仕切りはガラス張りとし、トイレ、洗面、浴室は一体的で開放的なバスルーム空間としました【写真18】。浴室の前には目隠し塀で囲まれた坪庭を設け、外からの視線を気にせずゆったりと入浴ができます【写真17】。
建具を開放すれば南北まで風が通り、側面にも窓を設けていますが、ルーバー等を閉め切った際でも、上部に設けた開閉可能なトップライトから柔らかな拡散光が導かれ、自然光で充分な明るさを確保しています【写真18~19】。